群馬信用組合沼田支店(坂倉建築研究所時担当作品)

この支店は尾瀬への観光拠点として知られる沼田市のほぼ中心部に位置している。周辺は商店、事務所、住宅、工場などが建ち並び、今日の地方都市の典型的な混在とした表情を呈している。支店ということから建物は小規模なものであるが、街並みに新しい息吹きを与えるような瀟洒なものにしたいと考えた。全体の構成は営業室を大きく中央に設定し、その周辺を取り囲むように各機能空間を配置した。敷地の形状、建物用途からも開口部は限定され、正面のみに大きく開けられた。この主空間は吹抜けによって高さを確保する一方、客溜まり、接客コーナーとして両側の一段と低いふくらみによって空間の拡がりをもたせ、螺旋階段をぬけて2階のホール、貸金庫へとつながり、空間の連続性を強調している。業務機能はすべて2階までに設けられ、その上部である3階は職員のための諸室と設備スペースが必要に応じて配置された。天井とそれをとりまく壁面は細く切り込むことによって照明用スリットとし、「連続した光の縞」をつくりだした。それらは最深部のクリヤミラーによって重なり合う虚像を映し出し、その奥行きの拡大効果を演出した。内部全体は、限定されたマテリアルとテクスチュアによって陰りのないモノクロームの空間を内包させた。これらの内部構成はそのまま外部のマッスとして表現されて,周辺の環境と対応させながら高さを押えてデザインされた。外壁と内壁は粗面で風合いのあるベージュ系の炻器質タイルを貼り、抉られた入口の曲面の壁はライトグリーンの水磨き仕上げにより煩雑な街並みの中にひとつの明るさを与えることになった。この建物の周囲にも次第に新しい銀行店舗がつくられつつあるが、まだ金融機関特有の閉鎖的な形体が多い。このような中で、正面のハーフミラーは外の歩道と内部空間を連続させながら、四季それぞれに変化する木立と尾瀬へと続く街道の表情を映し出している。
【建物名称】 群馬信用組合沼田支店
【所在地】 群馬県沼田市
【竣 工】 1977年
【用 途】 銀行
【敷地面積】 992.385㎡
【延床面積】 681.400㎡
【構造・規模】 RC造、地上3階地下1階