鶯啼居

旧江戸御府内での最古の店蔵となった建物の保存再生
集合住宅として店蔵と調和した江戸文化の保存と継承
江戸時代の商いの証人として店蔵をその地に保存し、
町の歴史と文化を次代に伝える役割を担う


建設地の成り立ちは、江戸時代にまで遡る。現在の韓国大使館の建つ隣接地はかつて大名屋敷(仙台藩・松平陸奥守/伊達正宗公)の下屋敷であり、そこへの出入り商人たちがつくった町である。しかしながら、江戸時代の商人街が戦後には近隣商業地域の商店街となり、更には、昭和の終わりには、徐々に商店が減っていった。現在はその面影は全くなくなり、住居地域となっている。唯一の時代の証人である江戸時代中期から生き続けてきた商人町の最後の商いの証しである「店蔵」を守り続け、次代に伝承したいと願った。
建設地が都心であり、著名人、その他の名士でもなく一商人の使っていたこうした歴史的な建物に私財を投じて維持継続することは極めて困難である。現実的には都市部の高額な固定資産税、相続税の支払いなどのため、周囲にあった同様の建物は全て取り壊されていった。商店の一個人のため、公的資金の援助も得られない為、自ら事業計画を起こし、建て直して集合住宅化し、その一角に再現、保存することにした。他の地に移すという保存はこの場合意味をもたない。建物そのものの価値ではなく、<ゲニウス・ロキ>即ち「その地に存在し、その地の歴史の証人」であるからである。しかも「最後の江戸の商いにおける語り部」といえるもので、単に「保存」ではなく多くの訪問者、建物入居者に利用してもらい、「リビング・ヘリテージ=Living Heritage」(生きた遺産)として活用して、歴史的意義を語り継ぎ、次代へと継承していくことを目指している。
【建物名称】 鶯啼居【OUTEIKYO】
【所在地】 東京都港区
【竣 工】 2021年
【用 途】 賃貸集合住宅
【敷地面積】 452.22㎡
【延床面積】 1214.17㎡
【構造・規模】 RC造、地上5階