浄專寺本堂改修

港区南麻布の江戸時代からある浄土真宗のお寺で、築43年になる鉄筋コンクリート造の本堂改修工事をおこなった。通りから長い参道を歩いていくと、正面扉の両脇のスリットガラス(扉と一体となる遮光小扉を設置)から本堂内部の様子が垣間見えるように計画した。本堂は、前室、講師控室、本堂の3つの空間からなり、入口となる前室は、色彩、光を一切抑えた「墨の間」とした。本堂は、前室から一転して、朱の色を効かせた鮮やかな「朱の間」とした。既存天井を生かした円形の2箇所の窪み(従来は、換気扇のついた換気孔)をトップライトとして改修し、ご本尊と参拝者の席に自然光が降り注ぐようにした。両壁際には、木製ガラリの床に「間接照明設備」と「空調スリット」を配置し、ライン状のアッパーライトと天井からの局所的なスポットライトの効果で本堂内を優しく暖かい光で包み込む効果を生み出した。屋根・床下・壁と躯体全体に従来なかった断熱材を新たに施す一方、従来天井に設置されていた空調機、換気装置を新しいものに変更して床下に移し、「人の高さで循環する冷暖房と換気のシステム」を可能にした。講師控え室は、「銀の間」とし、非日常性を参拝者に印象づける空間とした。
【建物名称】 浄專寺本堂
【所在地】 東京都港区
【竣 工】 2009年
【用 途】 寺院
【敷地面積】 1574.64㎡
【延床面積】 99㎡
【構造・規模】 RC造、地上1階