私の設計姿勢について

私は、設計の基本姿勢を<オルタナティブマインド>というキーワードに代表させたいと思っています。<オルタナティブマインド>=ALTERNATIVE MINDは、「もうひとつの何かを模索する心」を意味します。
「オルタナティブ」は英語以外にイタリア語alternativa=アルテルナティーバともありますように、日本語には存在しない言葉である一方、外国語ではあるニュアンスを含んだ言葉です。直訳の「オルタナティブ」=「もうひとつの」や「別の」などが、単にanotherやothersでない「もうひとつの何か」とか「別の価値をもつ何か」という意味あいを含んでいます。その言葉はその奥に宿る未知数のものへの探究心や研究心を模索し、創造性を喚起させてくれる魅力を感じさせます。
常に与えられたテーマや与件を充分分析し、既成の枠に縛られずに自由な発想をし、常に新鮮な視点を模索していきたいと考えています。
国の内外、洋の東西を問わず、多くのエッセンスを吸収、学習し、自己の作風として反映していきたいと努めています。
<風土>と<歴史>をその重点目標に置き、「科学と自然」「機械と人間」「未来と伝統」「ハイテクノロジーとクラフトマンシップ」といった、従来対峙する二律背反的な関係とのみ捉えられがちな各要素相互間おいて、新しい力学的均衡を見い出し、その接点の中から原始的な思考に立ち戻って発想し、新しい「オルタナティブ」を発見していくという研究活動的な設計作業を大きな基軸にして設計作業を進めております。具体的には、私の表現したものが、形態や色彩が他と違うとかいうような視覚にしか届かないものではなく、五感の全てを通して、心にまで到達するような「何かが違う」ものをつくり出していく創造性をもちたいと考えています。それが、建築の依頼主の要望にかない、ひいては日本の、そして世界の建築、環境、文化にと、直接、間接に影響し、貢献していけるような仕事になるように、日々、努力を重ねていきたいと考えております。
一級建築士事務所 山岡嘉彌デザイン事務所
山岡 嘉彌